tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

人間と資本:資本蓄積の行き先

2018年01月21日 12時47分05秒 | 社会
人間と資本:資本蓄積の行き先
 人間と資本の問題を書き始めますと、書くことはいくらでも出てくるように思います。それだけお金と人間は切っても切れない種々の因縁でつながってしまっているという事なのでしょうが、一応今回でキリにします。

 かつて「 確定利付きへの郷愁」を書きましたが、今は、そうした安定貯蓄の手段はありません。かつて、「銀行よさようなら、証券よこんにちは」などと言われた時代(岩戸景気1957-1961年の頃)がありました、景気のいい時は株価が上がります。しかし40年不況で家は暴落、山一證券はつぶれそうになりました。

 その後いざなぎ景気(1940年末-1970年)があり、オイルショックの不況の後、ご記憶のバブル経済があり、その都度株価は上げましたが、後には暴落が控えていました。最近また株が上がっていますが、日本人はやはり証券より債権が好きで、国債、銀行預金といった確定利付き方式の貯蓄が好きなようです。

 しかし現実を見れば、確定利付きと言っても利息は殆どゼロ、かつての定期預金年率5.5%などは夢のまた夢、国債と言っても、途中で換金すれば、元本割れもあり得ますし、定期預金と言っても、昔と違ってペイオフの対象ですから、本当に元本保証という貯蓄方法がなくなっています。

 それならとタンス預金がはやるようですが、(冗談で言えば)振り込め詐欺やゴミの中から数千万円の札束などという事にもなりかねません。
 貯蓄が増えるほど、国も金融機関も、元本を保証してくれなくなり、貯蓄の安全な維持が難しくなっています。

 高利回りで確定利付きですと言われてよく聞けば、外貨建てで為替のリスクはついて回ります。しかも国全体として貯蓄過剰の日本ですから為替変動はどうしても円高の方向で、外貨建ては危険です。

 蓄積社会(個人)が、蓄積から安定したリターンを得て楽して暮らすという事は現実にはなかなか難しいことのようです。
 話を矮小化しますと、当面する高齢化による長い老後をどう暮らすかというのが、今の日本社会の大きな問題ですが、貯蓄に関して言えば、過剰なため込みは避けたほうがいいようです。

 そのためには、社会保障制度をより充実したものにすることも必要ですが、元気な高齢者に積極的に働いてもらうという事も大事でしょう。 幸い、日本人は高齢になっても働き好きで、高齢者の就業率は主要国の中でも昔からダントツです。


 要は、長期不況の中で強くなった先行きへの不安・不信から徐々に脱却し、消費と貯蓄のバランス(今日と将来のバランス)を少し変え、今の生活の充実に重点を移すことで、日本経済自体がバランスを回復、安定成長路線を回復、経済成長の中から蓄積を活用したリターンが得られることを実感することが大事でしょう。

 国民の指向、国の雰囲気をこうした方向に変えていくことこそが、今必要な経済政策(社会経済政策)ではないでしょうか。
 残念ながら、今の政権はそれに巧く成功していないようです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。